SEPで ISO 50001 の一歩先を行く米国 認証にこだわらず「実」を取る方向へ

システム規格社が発行するISO専門誌「月刊アイソス」3月号(90~93ページ):ISO 50001認証事例シリーズ第5回に、「SEPでISOの一歩先を行く米国 認証にこだわらず「実」を取る方向へ」と題して、ISO/TC242(エネルギーマネジメント技術委員会)エキスパート米国代表ケン・ハミルトン氏(ヒューレット・パッカード社 環境及びエネルギーサービス・コンサルティング部門ワールドワイドディレクター)を取材した記事が掲載されています。

本記事では、ハミルトン氏よりSEPの内容がとてもわかりやすく解説されていますので、概要をご紹介します。記事は「日本ではあまり知られていないが、米国では『SEP』と呼ばれる、ISO 50001をベースにしたエネルギーパフォーマンスの継続的改善を目的とするプログラムが製造業をメインに推進されており、エネルギー使用削減において大きな成果をあげている。同プログラムに参加する企業は、自己宣言かSEP審査員による認証かのいずれかを選択できる。これまでの認証機関による認証制度に対するオールタナティブな制度と言えるだろう。」というアイソス編集部による解説からはじまります。

まず、SEPプログラムが米国企業のグローバルにおける競争力強化を目的としていることを強調し、ISO 50001認証について、次のようにコメントしています。「ISO事務総長のロブ・スティール氏が、「ISO 50001によって改善されたエネルギーパフォーマンスは、エネルギー源とエネルギー関連資産の使用を最小にし、その結果、エネルギーコストとエネルギー消費の両方を抑え、組織に速やかに便益を提供できます」と述べているように、これはビジネスに直結した規格なのです。ISO 14001では、マイナスの側面をいかに消すかに感心が行きがちだったので、パフォーマンスよりも認証がクローズアップされましたが、ISO 50001は、認証よりもパフォーマンスがクローズアップされます。どうも世の中には、マネジメントシステム規格との適合を証明するには第三者認証が必要であるという誤解があるようです。これは非常に問題があると思います。ISO 50001を実施する際、自己宣言という選択肢もあるのですから」(以下、ISO 50001手引書抜粋参照、「月刊アイソス」3月号91ページより引用)。

米国でのEnMSの動向について次のように語っています。「私はU.S.CEEMの理事を努めています。この評議会のメンバーは製造業がメインで、ダウ・ケミカル、HP、トヨタ、日産などの企業のほか米国エネルギー省も入っています。U.S.CEEMは、ISO 50001をベースにした「SEP」というプログラム推進しています。SEPでは、エネルギーパフォーマンスの継続的な改善を測定し、検証するために詳細なガイドラインを作成し、その検証結果を評価する取り組みを続けており、ISO/TC242の一歩先を進んでいます。」アイソス編集部による「SEPはISO 50001の認証取得を推奨しますか?」という質問に対して、次の興味ある回答をしています。「SEPでは、ISO 50001の認証を取得するか否かは、最終的にはユーザー組織が決めることだと考えています。エネルギーパフォーマンスの継続的改善という「実」を取る方向を目指すのなら、別にISO 50001の(第三者を介す)認証を取らなくてもいいと思います。SEPのパワーは、ISO 50001をベースにしつつ、ISO 50001よりもエネルギーベースラインとエネルギーパフォーマンス指標の部分を詳細にガイドラインで規定しているところにあります。」最後に次のようなISO 50001へのエールで締めくくっています。「ISO 50001を認証云々だけで考えず、企業のエネルギーパフォーマンスを良くするための方法として、もっと広めていく必要があると思います。この規格は、規格購入費こそかかりますが、使用料はかからないオープンソースなのですから、みんなでどんどん共有して使えばいいのです。認証機関にとっては、組織が認証審査を受けないと儲からないかもしれませんが、認証機関が自己宣言のためのツールを安く提供することでビジネスにつなげるという手もあると思います。実際、そのようは方向に関心を示しておられる認証機関もあります。」本記事の更なる詳しい内容について興味あるかたは「お問合せ」ページまたはメールでnobby@enms-doc.com 宛ご連絡下さい。

GSEPの展開

さらにハミルトン氏はGSEPについて、次のように紹介しています。「2010年7月に開かれたCEM(Clean Energy Ministerial)で、省エネに関する日米共同イニシアチブとしてGSEP(Global Superior Energy Performance Partnership)が設立されました。GSEPでは6つのワーキンググループ(WG)が活動しており、そのうち日本は3つのWG(セメント、電力、鉄鋼)を、米国が2つのWG(EnMS認証、放熱効果の高い屋根と舗装道路)を、フィンランドが1つのWG(コージェネレーション及び地域冷暖房)を担当しています。窓口は、日本は経済産業省、米国はエネルギー省、フィンランドは雇用経済省です。」経済産業省が公開しているのGSEP体制図(右)を参照下さい。
ところで、3月と4月は、GSEPに関連して、以下の重要な会合が予定されています。
3月12日、13日 日本・東京 「エネルギー効率に関するグローバ                          ルパートナーシップ(GSEP)第1回セクター別ワ                          ーキンググループの開催」
3月22日、23日 韓国・ソウル 「GSEP エネルギーマネジメント                          ワーキンググループの開催」
4月25日、26日 英国・ロンドン 「クリーンエネルギー大臣会合(CEM)第3回会合」
東京で開催される「第1回セクター別ワーキンググループ」(3月12日、13日)は、経済産業省より海外関係者へは1月31日の段階で案内(GSEP Sectoral WGs Invitation from METI)が出されていましたが、国内一般には3月6日に案内(経済産業省による公開案内)が公開されたあわただしさです。日本がリードする電力、鉄鋼、セメントの3つのワーキンググループの内、セメントWGは進捗が遅れているようで、今秋に延期され、2つのWGのみで開催されるようです。

事業継続マネジメント

前述、ハミルトン氏記事が掲載されている「月刊アイソス」3月号には「事業継続マネジメント:ISO規格最新動向とBSMS導入のポイント」が特集として組まれています。 「エネルギーマネジメント」と「事業継続性」は切っても切れない縁であることが、この特集からよくわかります。読んでいくと、内容がほとんどエネルギーマネジメントシステムと相通じることがわかります。ご興味がある方は、「月刊アイソス」3月号を入手されることをおすすめします。震災などのリスクに対応した事業継続計画が重要視されている大きな要因は、「エネルギーが途切れると事業がなりたたない」という認識の存在と考えいています。ISO 50001 に基づいたエネルギーマネジメント運用の徹底を図ると必然的に事業継続性についてマネジメントする方向に向かっていることが理解できます。 本ホームページで販売している省エネ法「管理標準」およびISO 50001適合するエネルギーマネジメントに必要な12のマネジメントドキュメントは事業継続マネジメントと互換性を共有するドキュメントであるとご好評をいただいています。

 

 

無料ダウンロード資料



"省エネ法「管理標準」と一つになるISO 50001 適合型エネルギーマネジメントシステム手引書(実用編)"
省エネ法とISO 50001をブレンドした「EnMS 管理標準」の構成と概要を紹介するプレゼンテーションです。
魅力あるモニタリングの世界へご案内します。

 

魅力あるエネルギーモニタリングの世界へようこそ

エネルギーマネジメント運用を担うみなさまへ。

みなさまの身の回りには目に見えないエネルギーという動物が走り回っています。

そのエネルギーが見えないでどうやってエネルギーマネジメントができるのでしょうか。

エネルギーモニタリングはまずエネルギーという動物がどのように走り回っているかを見えるようにしてくれます。

エネルギーの走り回っている様子が見えてくると、いっぺんにエネルギーマネジメントの世界が明るくなります。

         魅力あるエネルギーモニタリングの世界へようこそ。

● エネルギーの動きが見える

エネルギーの動きが見えるだけで、人間は賢いもので、そのエネルギーをどうやっておとなしくさせるか考え、行動をとります。

● 結果がでる

そうすると必ず結果が出てきます。

● 結果が見える

結果が出るだけでなく、結果も見えます。努力した人は嬉しくなります。

● 結果が見える

正式なデータに基づいた結果は、自信をもって上司に報告できます。上司にほめられ、努力した人はもっと嬉しくなります。

● 結果を維持・さらなる改善

動機を備えた人ほど強い者はいません。よい結果を維持する努力だけでなく、工夫してさらなる改善へ動きます。

         魅力ある「見える化」の世界へようこそ。

 

「魅力あるエネルギーモニタリングの世界へようこそ」資料を作成しました。ご興味いただければダウンロード下さい。

 

ISO 50001 自己認証を推奨する理由

EnMS-Doc アソシエーツは以下の思いで、ISO 50001 自己認証が一般的に受け入れられる仕組みを確立したいと考えています。

(1)  エネルギーマネジメントは、生産量単位あたりエネルギー消費量を下げることが目的ではなく、エネルギー消費量単位あたり
      どの位の価値を創造するかのビジネスである。

(2)  エネルギーマネジメントは、マイナスの側面を如何に除去する作業ではなく、最高品質の商品またはサービスを
      最少のエネルギーで作り上げることによって、競争力をつけるものである。                   

(3)  どの位の価値を創造するかのビジネス課題はエネルギーユーザ組織が自主的に評価する他にない。

(4)  エネルギーユーザ組織は、事業を展開する上で、① 第三者認証機関による認証を取得することにメリットを見出すか;
      ② エネルギーマネジメント運用によるエネルギーパフォーマンス改善という「実」をとる自己認証にメリットを見出すかの選択になる。

(5)  自己認証の信憑性はその組織のサスティナビリティおよび CSR への取組みがいかに社会にコミュニケーションされて
      いるかにある。

(6)  そのコミュニケーションの大きな要因は、エネルギーマネジメント運用により継続的エネルギーパフォーマンス改善を
      確実にするしっかりしたドキュメンテーションを確立し、それをベースに運営されているかにある。

(7)  言い換えると、エネルギーマネジメントへ確固たるドキュメンテーションが確立され、それに基づいて運営されていれば、
      たとえ予告なしの査察が入っても自己認証は全く怖いものなしである。

(8)  たとえ、エネルギーマネジメント監査を実施しても、8割以上の作業はドキュメンテーションの評価の時間に割かれると考える。
      それはエネルギーパフォーマンス改善の定量化評価やベースラインの設定やEnPIの定義などほとんどがデータ分析と
      その分析をサポートするドキュメンテーションの存在による適合性作業が主体となるからである。

ISO 50001 自己認証をサポートするには、自主的な行動が必要になります。ISO 50001 自己認証についてご意見をお聞かせください。本サイトは、今後ともISO 50001 自己認証のメリットを追求していき、ISO 50001 自己認証の仕組みが普及するよう応援します。ISO 50001 自己認証には認証機関の役割も大きいと考えます。すでに ISO 50001 自己認証を促進するサービス商品を提供している認証機関もおられます。注目下さい。

エネルギーマネジメント国際規格ISO 50001からの重要なメッセージ

エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者、エネルギー管理者にとって、ISO 50001はとても便利な国際マネジメント規格になります。その理由は、以下にあります。

(1)  エネルギーマネジメントは、第一目的であるエネルギーパフォーマンスの改善が継続的に実施され、持続的事業運用のマネジメント
      システムが生きていれば、必然的にISO 50001に適合していることになり、基本的に ISO 50001 の自己認証を宣言する仕組みを
      提供しているからです。

(2)  国際規格であるがゆえ、グローバルに所在(日本国内も含めて)する事業所のエネルギー・パフォーマンスの改善を共通の尺度に
      おいて定量化評価(見える化)できるからです。                   

(3)  ISO 50001適合EnMS運用を確実にする「管理標準」を含めた主要管理文書の作成はエネルギー管理統括者、エネルギー管理企
      画推進者、およびエネルギー管理者が担うからです。

常に初心に戻りISO 50001 の本当の意図を再認識し、ISO 50001 を元気にしたいと考えています。

ISO 50001および省エネ法「管理標準」を統合した、エネルギーマネジメントシステム(EnMS)管理文書を通して、エネルギー・パフォーマンス改善を追求する...それが ISO 50001 のすばらしさです。

ISO 50001の内容を理解していただくとわかりますが、

ISO 50001は認証にこだわっていません。

ISO 50001は「エネルギー・パフォーマンスの改善」にこだわっています。

つまり、形式ではなく、実をとることを強く推奨しています。

「実」とは何でしょうか?

それは、エネルギー・パフォーマンス改善により、事業の価値を上げ、事業の持続性を確実にすることです。

それでは、ISO 50001 は何を求めているのでしょうか?

何も求めていません。それぞれの組織が担う事業運用に沿ってエネルギーマネジメントシステム(以降、「EnMS」)を確立し、文書化し、実施し、エネルギー・パフォーマンス改善の目的・目標を達成することにより、組織が使命とする「持続的視野にたった事業展開」を促進することが、ISO 50001の狙いであり、願いでもあります。

それでは、ISO 50001 EnMS運用をどうすすめたらいいのでしょうか?続きを読む...

アーカイブ

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「ようこそ ISO 50001」続きを読む...


私たちの使命 #1

ISO 50001 に適合するドキュメントやサービスの提供

私たちの使命 #2

ISO 50001 に適合する EnMSに係っておられる組織や個人の方々とのつながりを広め、活発なEnMS運用を促進する
Permission to use extracts from ISO 50001 was provided by Standards Council of Canada. No further reproduction is permitted without prior written approval from Standards Council of Canada.

お世話になっているサイト紹介


ISO 関連の勉強をさせていただいています。


中尾優作氏よりリアルタイムな情報をいただいています。


USCEEMが推進しているSEPプログラムの動向を注意深く追っています。


CEMが導入したGSEPの動向に注意を払っています。